大型犬を飼う「7つの大変さ」とは?秋田犬との暮らしで見えてきたもの

4つ足の同居人

抱きしめた時の暖かさ、もふもふに顔をうずめて目を閉じた時の幸福感、その大きさゆえに頼れる家族としての存在感をより発揮する大型犬。

一緒に海岸線を走ったり、ソファーに寝転び読書をしたり、子供の面倒を見てもらったり、そんな映画やドラマのワンシーンを思い浮かべてみましょう。

まっすぐにあなたを見上げる瞳、黒い鼻、そして大きな両耳。

今はもう忘れてしまったとしても、人生で一度でも「大型犬と暮らしてみたい!」と思った人は多いはずです。

一方で、大型犬の飼育は「大変そう」というイメージからその夢をあきらめてしまった人、足踏みしてしまっている人もいるでしょう。

僕は大型犬、そのなかでも特に初心者には向かないと言われる「秋田犬」を人生初の愛犬として迎え入れ、現在進行形でその日々を送る社会人です。

今回はそんな人に向けて、ネガティブな意味での「大変さ」ではなく、一緒に暮らす上での合う・合わないの話をお伝えし、あなたが理想の大型犬ライフへと一歩を踏み出す、もしくは違う道を選ぶサポートができればと思っています。

まず、大型犬と暮らす「大変さ」とは?

仔犬から秋田犬を育て、その気難しさ、野生、数時間単位の散歩、味噌汁に浮かぶ毛、などなど、世間によく聞く以上の足踏み要素を経験してきました。

大変じゃなかったと言えば嘘になります。

けれど「辛かったか」といわれると不思議とそんなことはありません。

むしろ、出会う前、社畜として働き、ただ天井を見上げていたあの日々こそが「辛かった」です。

「大変さ」と「辛さ」はイコールではありません。
また、「大変さ」を伴う「面白さ」は最強です。


大型犬を飼う大変さや覚悟は、サイズ感も含めて子供や年の離れた妹弟をもつそれに近いものがある気がします。そしてそれは、働くことで疲れ切っていた僕にとってすら幸福感に内包される類のものです。

いま足踏みしている方は、「大変さ」をマイナスととらえるのではなく、自分に「合うか・合わないか」の目線で見るのがよいかと思います。

そして、合う!合わせられる!と思った時、覚悟を持って踏み出したその一歩は、あなたの理想とちょっと違っていたとしても、かけがえのない日々を与えてくれるものだと信じています。

今回は、7つのそのようなお話です。

大型犬の寿命は比較的短く、秋田犬であれば10年弱です。
人生の8分の1ほどを付き添い歩き、最後は抱きしめ、ゆっくりとその手を放します。

読み進める前に想像してみてください。
あなたの手には今、そんな一本の首輪が握られているのです。

室内で飼うのに広さは必要?

極端な提案に聞こえるかもしれませんが、犬と人の境界線を設けずに暮らすのであれば、専用のスペースというものは必要ありません。なぜなら専用ではなく、共用だからです!

居間でひとり、ご褒美のケーキを食べようとすれば足元から恨みがまし気な視線を感じ、一休みするつもりでベッドを覗けば占領されている。そんな状態です(ザ・わが家)。

よって、今の家族構成から「人間の5歳児」がひとり増えると考えて、飼い主様が手狭に感じないのであればそれは十分といえると思います。庭も不要です。

逆にスペースを区切ってしまうとお互い自由に動ける空間は制限されることになります。
ちゃんと線引きをした生活をしたいとお考えの際は、お互いにもう少しゆとりが必要になります。

ただし、一緒に暮らしていると思うことですが、最初は堅牢な柵を築き犬は犬!と考えていたとしても徐々に侵略され、その線引きが曖昧になっていくというパターンも多いのではと思います。

そうなるともう手遅れです。

そこまで大げさなスペースは必要ないというのが暮らしてみての実感です。

ひとりでも飼える?

ひとりでも飼うことは可能です。

20代、30代の頃のような体力も不要です。

ですがそれは、日に家を長時間留守にすることがない場合に限られるかと思います。
おひとりの場合で、旅行が趣味だったり、朝早くから夜遅くまで外で働くことが多いのであれば難しいと言えるでしょう。

特にも、大型犬の散歩は小型犬よりも長時間になりがちです。

その散歩自体は大変でありながらも楽しいものですが、そもそも時間を捻出できる家族がいないのであれば大きなストレスを与えてしまします。

また、大型犬に限らず、犬は家族と一緒にいることで安らぎを覚える生き物です。
誰かが家にいないだけでうろうろ、そわそわして落ち着きがなくなるのでできるだけ一緒に居てあげられる環境が好ましいです。

散歩に必要な体力・時間はどれくらい?

1日3回~4回、1回あたり最低20~30分以上は散歩に費やしています。
※わが家の場合は少し多めで、通常30分を2セット(1時間)で十分だったりもするようです。

え、そんなに!?と思われるかもしれませんが、仔犬から育てる場合、最初の散歩は10分程度です。成犬に近づくにつれ、徐々に距離が伸びていくのです。

そして、その成長の間に飼い主様の足腰は嫌でも鍛えられていきます。

両親も、シニアで弱りかけていた体には活力が戻り、今では長距離を歩くことは全く苦ではなくなっています。

長時間の散歩で大型犬と暮らせるか悩む方は多いようです。
ですが、僕にとってはむしろよかったと思える一番のことが散歩です。


ただの通勤路、もう何も面白いことなどないのだと思っていたその道を、引っ張られながら曲がればそこは僕の知らない街でした。

草花や神社の鯉のぼり、おしゃれな喫茶店、ほかの飼い主様達との交流
虫取り網を握りしめていた少年時代のような冒険心。

Youtubeを始め、ブログを書くようになったのもその延長によるものです。

だから、ぐいぐいと未知の世界に引っ張っていってくれるワガママな案内人に今は感謝しています。

また、犬種にもよりますが、どこかの節目でその歩調には大きな変化が生じます。

2歳までは活発に走り回っていたのが、3歳になると落ち着いて、のすのす歩くようになり、休憩の時間が長くなります。
そうなると体力的な負担はなくなり、なんなら少し物足りないくらいです。

よって体力というより、「毎日1時間」を捻出できるかがポイントになります。

抜け毛の量ってすごいの?

はい、すごいです

すごすぎて朝の掃除が習慣になり、図らずも以前より家のなかは綺麗です。
詳しくはこちらをどうぞ

トイレの処理って大変?匂うの?

わが家の秋田犬は、外でしか用を足さないので匂いは全くありません。
躾けたわけではないのですが、和犬の場合にはよくあることのようです。

なので室内でトイレをしていた仔犬期の話になるのですが、その時でも匂いが気になったことはほとんどありませんでした。

案外臭くない!というのが感想です。

ですが、一時期ウンチがとんでもない臭気を放っていた時期があります。

それはその時食べさせていたドッグフードが原因でした。
別の食事を与えてみたらあっという間に改善されたので、今そのようなお悩みを抱えている飼い主様は他を試してみるのがよいのではないかと思います。

ちなみに、外でしか用を足さなくなったわが家の場合
お腹の調子を崩した際、深夜でも散歩にいかなければならなくなる時があります。

大型犬に限らずペットに夜中起こされるということはあると思いますが、これは結構大変です。
もしもの時だけでも家のなかでするように躾けた方がよろしいかと思います。

お金ってどれくらいかかるの?

お金の話です。大事ですよね。

どのような犬種を選ぶのか、保護犬なのかどうかで初期費用は変わってくるので、ここでは実際に毎月にかかっている費用についてお示しします。

食費+おやつ1万5千円
日用品(主にペットシーツ)3千円
医療費(予防接種、寄生虫予防)4千円
合計2万2千円

また、うちの場合ペット保険には入っておらず、シャンプー・トリミング代もかけていません。
もしもの時は貯金で対応、それか天命だと考え、できることは自分達で行おうと考えています。

これらの金額に自身の生活費や趣味活動費を加えたり、節約したりしてみると必要な収入が見えてくるかと思います。

懐から出ていく「金額」は一種、負のパラメーターとして感情を引っ張られやすい部分かと思います。

ですが、金額はあくまで金額です。
何かを得ようとしたり、子供を授かろうとする時と同様にそれは数値だけで測れるものではありません。

理想に手を伸ばすための現実との「距離感」と考えてみてそれを埋めることができそうか考えてみましょう。

大型犬を躾けられるか不安、コツってあるの?

たった1人の主に厚い忠誠を誓うワンオーナードッグといわれている秋田犬。
ですが、わが家でその試験に合格した者はいません。彼女にとっておのが主は自分のみです。

僕のお願いをなんなら寝たふりでやり過ごす、そんな天邪鬼に育ちました。

そんなわけで、躾けに自信をもって言えることがあるとすれば以下の3点のみです。
手遅れにならないよう、力の弱い仔犬期のうちにしっかりしておく必要があります。

・叱るときは可哀そうでも鳴くまでしっかり叱る。
・なんでも言うことを聞かせようとしない。
・蔑ろにせずに愛情を注ぐ。

犬は従順な生き物のイメージがありますが、決してそうではありません。案外人間臭い生き物です。
なのでポイントは押えつつ、あとはその仔の意思を尊重することも大事だと思います。

もちろん主の指示に応えることに喜びを感じる仔もいるでしょうが、そればかりではありません。

また、どこまでいっても彼らは違う生き物です。
ふとしたタイミングで喜びや怒り、野生のスイッチが入ることもあります。

最初は噛むときの力加減を誤り、怪我をさせられることもあるでしょう。
ゴールデンレトリバーでもその人懐っこさゆえに飛び掛かかって転ばせられることがあります。

それにショックを受けないでください。

どのような個性なのかをよく観察し、散歩で言えば人通りの多いところを避けるなど、時には飼い主様が工夫し合わせてあげることも大事です。

番外編:大型犬に日常をめちゃくちゃにされた話

今回はあくまで大型犬を飼う上でのネガティブイメージに焦点を当ててお話ししました。
ですが違う視点としてとある「欲求」にも少し触れておきます。

今、こんな欲求を抱え日々を過ごしてはいないでしょうか?

・癒されたい。仕事と人間関係に疲れてしまった。
・休日、外に出るきっかけが欲しい。ここではないどこかに行きたい。
・漫然と続く日常をぶち壊してやりたい。
・夢中になれるものを探しているけど見つからない。

これらはすべて僕が抱えていたものです。

僕は社会人になってから「仕事か、寝て過ごすだけの明日」しか想像できなくなっていました。
葛藤はありつつも疲れ果て、ひとりではどうすることもできなくなっていたのです。

そんななか大型の起爆剤が僕の人生に放り込まれます。
僕のちっぽけな意思なんて関係ありません。

力ずくで癒され、外に連れ出され、ご飯もひとりで食べさせてもらえない。

それまでの日常はもうめちゃくちゃです

仕事で疲れ、家ではスマホを覗く日々、趣味も見つけられず、ゆえに時間やお金の使いどころもない。
僕のほかにもそんな人はいないでしょうか?

人生がすでに充実している人よりも、そんな精神的にがんじがらめになっている人にこそ大型犬に救われることがあるのではないかと思っています。

最後に

犬種やその仔の個性にもよるでしょうが、これらのことは僕の偽らざる本音です。

ここまで読んでみて、それでも大型犬と暮らしたいという思いは残っているでしょうか?
なんなら大きくなっているでしょうか?

もしそうであれば、こんなブログなんて見てないでさっさと犬を見に行きましょう。

そしてお目当ての仔を見つけたら、一度その胸に抱いてみましょう。
小さな舌で手や頬を舐められて、その瞬間にあなたは運命を感じ覚悟を決めてしまうかもしれません。

ですが、ちょっと待ってください。
焦らなくても大丈夫。一度家に帰りましょう。

その仔が本当に運命の相手であれば、もう少しの間待ってくれるはずです。

そして、その犬種のことをちゃんと調べ、かの有名な『犬の十戒』に目を通し、一晩眠りましょう。
明日は人生の転機になるかもしれません。忙しくなります。
ゆっくり体を休めましょう。


あなたが目を覚ました時
心のなかで握りしめた一本の首輪をまだ手にしているでしょうか?
色や形、それを付けたあの仔の喜ぶ姿は目に浮かぶでしょうか?

そうであればきっと大丈夫。

あの仔もあなたに抱かれた感触が忘れられず、同じ気持ちで待っているかもしれません。
急いで迎えに行ってあげましょう。

そうそう。帰りにドッグフードを買ってくるのを忘れないように。

以上で終わります。最後まで読んでくださりありがとうございました。
僕も道半ばの身ではありますが、この数年は驚くほどあっという間でした。
そしておそらくこれからの数年もそうでしょう。

あなたとあなたの愛犬の10年が最高のものになることを願っています。

Youtubeもやってます⇒秋田犬はるノ嬢@すぷりんぐちゃんねる(https://www.youtube.com/@user-zo6pt5rc2w)

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