働き始めてから７年間、穴を掘りつづけているようなものだった。
前には進むけどその景色は狭くて暗くて、
誰かに怯えることもないけど、ひとりぼっち
さみしさすら感じない孤独に覚える居心地のよさ。
けどふと振り返って見えるのは、自分の掘ったどこまでも続く土の道
なんとなく怖くなって、幼いころ見たあの青空を久しぶりに見たくなった。
思い立ったが吉日。
そうだ、地上を目指そう。
やることはいたってシンプル。
ただ逆のことをするだけ、上を目指して
掘って掘って掘って掘って
掘って掘って掘って掘って掘って掘って…
…あれ？地上ってどちらでしたっけ。
僕はすっかり迷子のモグラであった。
「墓穴を掘る」というけれど、あまりに長い間掘りすぎてそれはもはや迷宮（ダンジョン）であった。
ここまでくるといっそ自分を褒めたくもなるのだが、いざ戻ろうとすると大変である。
世のモグラというものは一体どうやって自らの目的地を把握しているのだろう？
たしか優れた嗅覚であったように思う。
そもそも自分は「トルネコの冒険」や「チョコボの不思議なダンジョン」より、断然ドラクエやFF派。
ダンジョン攻略はパーティー組んでなんぼ
ひとりでなんてムリだって…。
胸にぽっかり穴が開き手足に血が行き届いていないような感覚。
どうやらなにか大切なものまで落としてきたらしい。
頭だけが「まずいまずい」と警鐘を鳴らすけど
なにをどうしていいのかわからず暗闇で途方に暮れる。
こんなことなら憧れなければよかったのに…。
そんな時
ザッザッザッ
何か聞こえた。と思ったらすぐに
ボカン！！
デリカシーのない所作で土壁は壊され、穴からぬんっと大きな顔が飛び出した。
もったりとした耳にずんぐりと丸っこい手足
太々しく「あるじにしてやろうか？」という顔でこっちを見つめる少し垂れた瞳
…この生き物はなんだろう。
そんな疑問はさておいて先端に黒光りする立派なお鼻と
全身からあふれ出る命の輝きに目を奪われて
もはや僕に拒否権はなかった。
このブログについて
このブログは我が家に突如現れた「秋田犬はる」との日常の記録であり、僕にとってはある種の冒険譚です。
時間と体力を切り売りして社会で働くうちに、うっかり心までどこかに置いてきてしまった霊長類ヒト科の「もぐら（主）」が秋田犬「はる(おはる)」とその失くしたカケラを拾い集めて人生攻略を目指します。
あの広く青い空をもう一度。
今もまだすべてを集められたわけじゃなくて旅の途中。
このブログ自体がその一環だったりするのだけれど…。
何年掛かるかわからない、そんなゆるい道中で秋田犬との暮らしを少しでも面白くおかしく描いていけたらいいなと思っています。
旅に付き合わせるだけじゃ、おはるに悪いから少しでも多くの人に秋田犬の魅力が伝わるようにできるだけ誠実に、できるだけ丁寧に。なんか聞いていた秋田犬のイメージと全然違う成長を遂げたので参考になるかは…。
また、それ以外でもあの手この手で自分を取り戻そうと思います。
その軌跡は映画や本、漫画の感想であったり、日常のつぶやきや愚痴、どこかに行った際の旅行記であるかもしれません。
僕以外の人生攻略に勤しむ皆様へ
このブログがふとした拍子にマップやポーション、皆様のお助けアイテムになってくれればいいなと
少し偉そうなことも考えているのです。
Youtubeもやってます⇒秋田犬はるノ嬢＠すぷりんぐちゃんねる（https://www.youtube.com/@user-zo6pt5rc2w）
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