四季から⇒二季へ
幼いころは、四季それぞれが自分の色を強く主張し合っていたように思う。
春の桜であったり、夏の青空であったり
時にはそれは匂いだったりしたけれど
緩やかなグラデーションでもって、それらは記憶のカケラのなかに等しく思い出される。
けれど近年、春と秋は極端に短く、季節の変化は点滅信号のようにせわしなく切り替わる。
「春の花」である桜も自分の見せ場がいつなのか、タイミングをつかみきれないままに
「えぇ~っ!?」と
バタバタ咲いた思ったら、バタバタ舞台袖に引っ込んでいるかのようだ。
将来的には二季しかなくなるなんて話もついに現実味を帯びてきた。
この仔がうちに来たのも、桜の出番も残りわずかなそんな奇妙に暑い春の日のこと。
僕が帰宅した際、名前はまだ決まっていなかった。
両親と3人でアイディアを出し合い、うんうんと悩んだ結果「はる」と名付けた。
奇抜さを好むわが家には珍しくひどく安直な名前。
春にやって来たからそう付けた。
アイディアのきっかけはそうだけど決め手は違う。
「はるっ!!」って感じが全身からほとばしっていたのである。
日本の春が春らしさを失いかけるなか、どこか暴力的なまでの生命力とあたたかさを内包していた。
・・・。
ぱちっ!
世にキラキラネームが増えるなか、いまだ根強く沢山の古風ゆかしい「はるちゃん」が日本中にいる理由が解った気がした。
原点にして頂点というやつだ。
たぶん安直に名付けられた子なんてほとんどいない。
この子にこそふさわしいと親バカ達はその名を冠したのだなぁと思う。
ちなみに血統証の登録名は「小雪姫」。
…こんな片田舎に住まわすにはたいへん大層な名前で恐れ多く、飼い主も名前負けで威厳を保てそうもない。
おしとやかで品のいい性格に育ちそうな美しい名前であったが、半面儚くもあったためひとつ季節を先送りにさせていただいた。
二季から⇒三季へ
かくしてわが家に「はる」が来た。
この「はる」は1年を通して居座り続け、季節のグラデーションに関係なく常に濃い桜色を日常にまとわせてくる。
しかも夏には弱く、冬は大好きという妙な特徴まで持っていた。
四季から二季へ、二季から三季へ
近年の環境変化はまことすさまじい。
それまでもぐら家族3人だけでガラパゴス的な生態系を築いてきたわが家も、それに適応せざるおえなくなったのである。
またこの「はる」は、プライドの高い女王様気質と偏屈な性格が露わになり「おはる」や「はるノ嬢」と家族からの呼び名が移り変わっていくことになる。
時は戻せないけど、名は体を表すと言いいますし。
やっぱり「小雪姫」のままのでもよかったのかもしれないなぁ…。
Youtubeもやってます⇒秋田犬はるノ嬢@すぷりんぐちゃんねる(https://www.youtube.com/@user-zo6pt5rc2w)
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