初めての動物病院へ!秋田犬の特徴「我慢強さ」の意外な落とし穴

4つ足の同居人

秋田犬はとても我慢強い犬種だ。

多少の苦痛は決して表に出さず、悟らせず、じっと我慢して平気そうな顔をしている。

毎日職場でつらいつらいと騒いでいたら、あっさり心配されなくなったオオカミ少年な僕と違って、真の狼の末裔はそんな特徴を兼備えた誇り高い犬種なのである。

…でもそんな我慢強さは時として思わぬ形で自身に牙を剝くことがある。

あまりにも静かな予兆

忠犬ハチ公のエピソードを思えば、あれぞみんなが思い浮かべるTHE秋田犬。

対して、そんなシンボルに砂をかけ真っ向から挑まんとする令和の秋田犬おはる。

たぶん末っ子の彼女は忠誠心やら思いやりやら、秋田犬のイロハを兄姉に吸い取られたに違いない。

でも、そんな出涸らしおはるにも残された一粒の秋田犬らしさ、高いプライドとそこからくる我慢強さがある。

おはると暮らすようになって半年ほどたった頃こんなことがあった。

犬がよくやる後ろ足で耳のあたりをかかかかかっと掻くあの動作、
ほんの少しやる回数が増えたかな?と思っていたら、1週間後に事件は起こる。

その日の夕方、いつの間にか耳周りの毛がぐっしょりと濡れていた。

そして漂うなんとも言えない膿んだ臭い。
これは、ただ事ではない…。

家族一同大層慌てたが病院はすでに閉まっている。

おはるにとっては大変不運なことに、戦後の昭和中期、まともな病院や薬なんてなかった時代に生まれた父は、おそらく中耳炎であろうとあたりをつけ持っていた犬用の耳洗浄液に、「ムヒ」をいい感じにブレンドし新薬を調合

当然人用であるものの、かゆみ止めに効果抜群で赤ちゃんにも使えるから、いける!という仮説で応急処置と称しおはるの耳につっこんだ。

いざ、はじめての動物病院へ

一晩経って、未承認の新薬の効果は言わずもがな。

もの申せぬ唯一の被験者に代わって父がぼそり、なんか少し良くなった気がする…と呟くが

んなわきゃなかった。

そして犬生初の動物病院はなんとも古びた雰囲気で、申し訳ないけれどおはるの悲鳴がよく似合いそうなところだと思った。

順番を待っている間、なかの診察室が覗けるような構造になっていた。

置いてある器具も現代的な感じではなく、
「機械」というより「メカ」という表現がしっくりくる用途不明な無骨なものばかり。

天井からぶら下がるチューブ先端に光る針のなんと太いことか!

ドリルとは言わないまでも、頭からアンテナくらい生やして帰る覚悟はしないといけないかもしれない。

数分後、ついに閻魔様からお声がかかり、地面に張り付いたおはるをべりべり剥がして診察室に入ると初老の男性が眉間にシワを寄せ待ち構えていた。

黒縁メガネに光る眼光が、生涯現役といった風格を醸し出しており、いかにも腕はよさそうである。

開口一番、首と口をしっかり押えるようにと言い含められる。

どこか緊張感を滲ませる様子からして、手袋の下には名誉の負傷がいくつも隠されているに違いなかった。

僕も先生を怒らせて愛犬を物言わぬアイボに改造されたくはない。
心を鬼にして震えるおはるを掴む手にぐっと力が入る。

重苦しい時間に耐え、診断結果は中耳炎
だけれどその状態はかなりひどかったらしくなんでもっと早く連れてこなかったのかと結局怒らせてしまった。

しかもその迫力に押され、前日に施した新薬の秘密まで話してしまい、それを知った先生の驚きと怒りはすさまじかった。

ただ、そんなひどい状態であったにもかかわらず普段どおり過ごしていたこと、

治療中も毛を抜かれたり薬を塗られ苦痛であったはずなのに震えながらもじっと耐えていたこと、

そんな姿に驚き、いじらしいと感じたのか先生のおはるに向ける眼差しは真に優しかった。

褒め称えられている1匹の横で、しょんぼり説教される飼い主3匹。

そのうち母だけはケロッとしていたことから、幼少期の素行をうかがわせた。

後ろで順番待ちをする立派な愛犬・愛猫家の方々はいったい何を見せられているのか、その心境を思うといろんな意味でいたたまれなかった。

我慢強さの落とし穴

結果、まだ若いおはるの回復力と先生の腕が相まって、10日後の再受診でもう来なくてもいいと太鼓判をいただいた。

あんな怖い目にあったのに、おはるが嫌がることなくもう一度病院に入っていったのは、自分を治してくれる場所だとなんとなく理解していたからかもしれないし、被験者にした飼い主をもう一度叱ってほしかったのかもしれない。

にやり

そして、安心感と同時に抱く強い危機感。

普段通りになんてしていられない状態であったはずなのに、ご飯をモリモリ食べ、散歩でも元気に走り回っていた彼女はとんでもないやせ我慢を披露していたことになる。

いつもなんてことない我儘は主張するくせに、自分の弱った姿は決して見られたくないらしい。

おそらく耳を掻きだした時点で深刻な状態であったに違いないのだ。

以降、「違和感はすでに大事」「餅は餅屋」という思いでおはるを見守り続けている。

そして、その我慢強さは高すぎるプライドからくるものであるからして、もしご兄姉に会ったら言おうと思っていることがある。

忠誠心なんて贅沢は言わないから、プライドなんかもどうぞ吸い取ってくれればよかったのに!

この時のじゃないし、病院も違うけど動物病院動画です👇

Youtubeもやってます⇒秋田犬はるノ嬢@すぷりんぐちゃんねるhttps://www.youtube.com/@user-zo6pt5rc2w

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